強迫性障害を抱える公認会計士のブログ

強迫性障害で休職・復職を経験した公認会計士が、日々の生活で実施した治療行動を記録しています。

私の症状

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事例

 過去の記事で強迫性障害の概要を記載しました。

kyouhakucpa.hatenablog.com

 今回は具体的に私が発症した症状についてお話します。

症状の具体例を知ることで、ご自身の症状が強迫性障害かもしれないと気付くことができるかもしれません。

  • 私の強迫観念と強迫行為
  • 具体的に困ったこと
  • 休職を決意したとき

 

私の強迫観念と強迫行為

私の強迫観念(簡単にいえば、たびたび沸き起こる不安)は「失敗すること」です。

初めて異常を感じ始めたのは中学3年生の時でした。ちょうど高校受験の年でもあり、普段のテストの成績や通知表の内申点を気にし始めた頃でした。

 

試験勉強をしていると、自分が書いた文字が正確に書けているか気になる。漢字のとめ、はね、字体の違い、偏(へん)と旁(つくり)の間隔、アルファベットの字体の違い、など何が正解なのか無性に疑問がわき、その疑問を解決しなければいくら勉強をしてもすべて不正解で無意味である、という考え(強迫観念)がしきりに浮かびました。

 

その強迫観念を解消しなければ、いくら勉強しても無駄になってしまうので、目の前の勉強そっちのけでひたすら漢字やアルファベットを正確に書く方法を検討(強迫行為)していました。どのような辞書を買えばよいのか、文字の専門家を探して質問したほうが良いのか、いや、今すぐ学校に電話して先生に聞くべきなのか、など「失敗すること」を回避するために延々と考え続け、まったく勉強が進まなくなりました。

 

強迫観念は次第に範囲が広がり、文字以外にも、数学の解法や英語の文法、勉強以外では部活動の試合でのミスや日常の人間関係など、想定されるあらゆる失敗に及びました。これは以後20年にわたり継続し、社会人になってからは、仕事のミスを気にするあまり、あらゆる失敗の可能性とその対策を考え続けていました。

 

具体的に困ったこと

四六時中、失敗を回避する方法を考え続けること(強迫行為)が止められなくなり、やるべきことが手につかなくなりました。毎日全力で必死に考えているのに、学業成績はどんどん落ちていき、そのことにさらに苦しむようになりました。

 

社会人になっても同様で目の前の仕事が進まず、強迫行為に必死で仕事に集中できないので、作業の質も悪いという最悪の状態が続きました。学生時代と違い、社会人なので上司や顧客から叱責されたり、人事評価を下げられたり、同期社員と差がついたりして非常に苦しみました。私としては、まじめにできる限り努力しているつもりだったのです。

 

休職を決意したとき

35歳の時に私は休職を決意しました。仕事が繁忙期に入る初日の朝、テレビのスポーツニュースを見ると昨日のプロ野球の結果が報道されていました。そのとき、ふと「野球の審判は攻撃側のランナーがベースを踏むのと、守備側の捕球のタイミングでアウトかセーフを判定しているけど、ランナーとボールの動きをどうやって同時に見ているのだろう?」という疑問がわきました。

 

その疑問は次第に「自分が審判だった場合に正確に判定できるだろうか」、「大事な試合でミスをしたら大変なことになる」…といった強迫観念となり、私は何とかその問題を解決するべく、頭の中であらゆるシュミレーションをして確実に正確な判定をする方法を考えました。

 

その日は繁忙期の初日です。やることが山ほどあるのに、私はその野球の問題を考えていたために1日まったく集中できなくなり、ほとんど仕事が進みませんでした。こんなことが続けば繁忙期を乗り越えることは絶望的でした。仕事に集中できないことにはずっと悩んでいましたが、それまでは単に心配性な性格の問題と片づけて半ばあきらめていました。しかし、さすがにこれでは仕事にならない。私はその翌日、上司に休職の希望を出したのです。